昨日の続きです。 4年制大学を出たてで営業になって、声が小さく元気がなくて「こいつは営業に向いてない」と言われてたのに、その年のある月に、月間粗利益トップをとってしまった人の話。
「リセラー営業推進室」というところにいたわたしが、その年の9月から大阪営業所 所長兼任になると同時に、彼も大阪営業所から「大阪営業所の名古屋駐在所」というところに配属されました。
会社が借りたアパートに住みつつ、そこの一角を事務所として使うという環境。大学出たてでこんな条件で、よくぞ逃げなかったものです。
彼が名古屋に引っ越してから数週間後、顧客に同行営業してみることにしました。
それまで直接彼の営業場面を見たことがなく、印象としては「声が小さい」しかありません。
本当は名古屋にわたくしも常駐したかったのですが大阪営業所本体の顧客引き継ぎ訪問があってなかなか名古屋に行けず、同行営業まで数週間かかってしまいました。
当時居た会社はパソコンメーカーで、営業の使命は「代理店になってくれそうな会社を探して取引開始してもらうこと」「代理店になってくれたところに売り続けていただくこと」でした。
そのときは彼が既存代理店さんへの訪問をする予定を組んでいたので、「代理店さんが彼から買い続けてくれるか」を見ようと思ってました。足りない点があったら、ロールプレイングなど行うつもりでした。
最初のお客さんのところに行ったときに、感心したことが2つありました。
ひとつは、お客さんから「○○くん」と、名前で呼ばれてることです。配属されて2回目の営業なのに。
もうひとつは、お客さんに「△△社長」と、名前で呼んでいたことです。
声は小さいのですけどね。
この日は確か3社訪問しましたが、どこでもお客さんから「○○くん」と呼ばれてたし、どこでもお客さんを「△△社長」「□□さん」と呼んでました。
なんだかお客さんに馴染んでる感じだったので「○○くん、ここ何回目の訪問だったっけ」と聞くと「今日が2回目です」。
わたくしはこれで、「既存代理店への営業は大丈夫だ」と確信しました。
事実、その半年後には、粗利益額と粗利益率で他のどの営業所と比べても最高の月間数字をたたき出しました。
私のいた大阪営業所含め他のどこもが、利益を下げていたのにです。
何故そんなことが起こったか。
年度末なので売上をつくるために会社が「特価品」を用意してたのです。
他メーカーもおなじように特価品を出して来る。だから対抗して安いものを提供しないと代理店さんが他メーカーから購買してしまう、というのが会社側が企画した理由です。
ところが彼の駐在所だけ、特価品が売れず、通常の価格のものばかり売れたのです。
既存代理店さんが特価品じゃなくて通常の価格のものを求めたのです。
何故彼がそんなことができたのか。
おそらく、彼自身、必死だったんだと思います。お客さんの名前を覚えること、顔なじみになってもらうことに。
だからお客様を名前で呼んだ。
これをやり続けた積み重ねが「値段ではない購買理由」を生んだのだとおもいます。
よく「ルーキーのラッキーパンチ」だといいます。でも、おそらく彼の行動は、法則化できるものだとおもいます。
「打ち解け力」という言葉で。
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昨日に続きご案内。
「営業センスを磨く講座」9月8日(土)に第1回を行います。
テーマは「打ち解け力」
今日書いた、大学出たばかりの彼が行っていた方法も、もちろん御伝えします。加えて、
お客さんにもっと近づくため、ある質問で相手を3つの特性に分類する方法などを御伝えします。
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